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プロフィール
HN:
昂真秀
性別:
女性
職業:
見習トゥルバトール
趣味:
妄想
自己紹介:
昔は錬金術師を志していたが、現在は吟遊詩人を夢見ている。
最近は『思考するハムスター』『黒髪ロングの狸』等々好き勝手に呼ばれております。
Blong Pet
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史実(日本戦後)の描写があります。個人的な政治の意図などは一切ありません。国辱の意図もありません。
苦手な方、政治的なご意見を強く持っておられる方は不愉快な思いをさせる可能性がありますので読まないほうがいいと思います。


何でもおk、って方は下記をクリック。





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鶺鴒の声 2











米がヤンデレ、中国ツンデレ、英キモイ仕様。
菊様しゃべれません
エロは期待しないほうがいいです。



ちょっと続き物になりそうな予感







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










やがて車は人里離れた静かな山中に入り、見えて来たのは山荘のような外観からは病院とは思えぬ建物であった。
門を潜りその白い建物の玄関に横付けすれば出迎えの人が車の扉をあける。
先に降りて待っていたアメリカがさぁ行こうと元気よく言って歩き始めるのを黙って一同は付いて行く。
緑の鮮やかさが硝子越しでもはっきりわかる程だったが回廊を二度三度曲がるうちに薄暗さが増してゆき、なぁと口を開いたのはフランスだった。
「アメリカ、これは病院?」
「うーん正確に言うと静養所かな?この国の貴族のものだったのを徴収したんだぞ」
「へぇ華族の持物ね、どうりで洒落てる筈だよ」
薄暗さで気付き難いが所々の釘隠しや蝶番には彫金が見える。
今通り過ぎた釘隠しは蝙蝠、頭上のランプにはすり硝子で夜に明りを灯せばさぞ美しいであろう。
暗い雰囲気の中館の装飾に目をやっていたのはフランスとロマーノぐらいのもので、その他一同は黙々と進む。
やがて磨かれた美しい木目の菊の装飾が施された一室に辿り着くとそこからは据えた匂いがした…消毒液の匂いと混って。
扉にはノッカーがついており、アメリカが二度ノッカーを静かに鳴らせば中から白衣の女性と年配男性が出て来て、一同に深く頭を下げた後、中へ招き入れた。
室内は更に暗く、匂いがきつい。
フランスはそういえば、と途中からカーテンが閉められていてどんどん暗くなっていっていたことに気付くとこのあえての薄暗さに不気味さを覚える。
この部屋の窓に至っては雨戸が閉められており、奥の部屋もおそらくそうである事が察せられた。
そしてそこに日本がいる。
嫌な汗が流れ落ちる。
夏なのに妙に涼しいこの部屋が更にその思いを強くした。
いつになく真面目な顔をしてアメリカが皆を見て、聞いた事も無い静かな声を出しながら奥へ続く扉の前に立つ。
「今から日本に会わせるけど約束して欲しい。声出さない静かにする。物音を立てないようにしてくれ。動揺して騒ぎ立てるなら直ぐに出すから。質問等は後で受ける。良いなら会わせるけど嫌なら別室に行ってくれイタリア兄弟以外」
誰も別室に行く者はいなかった。
アメリカが男性に頷くと男性が扉を開けると酷い鼻をつく匂いが襲う。
そこは真暗で、女性が手持ちランプを持って先に室内に入るとぼんやりと室内の豪奢な装飾の中寝台が一つ。
冷気すら漂っているのではないだろうかというような中、寝台の羅紗の幕が開けられ白い物体があった。
真っ白な包帯で覆われた形は人であろうモノが浴衣に包まれ、息をする為に巻かれていない部分は赤黒く腐臭がした。
頭部は所々みえる黒髪がはみ出しておりヒュウ、ヒュウという呼吸音だけが唯一それが生きてる証しのようでもあった。
フランスがふとイタリア兄弟をみれば息もできないような顔をしてイタリアが瞬きもせず寝台に向かって一歩足を踏み出すのかはたまた床に崩れ落ちるのかという風情を兄が後ろからはがいじめにして真っ直ぐ寝台へ視線を向けていた。
中国は息を奥に吸い込み奥歯をギリ、といわせている。
イギリスは…とろんとした目線で夢でも見ているかのようにみえる、まるで何の悪い冗談だ?といわんばかりに。
アメリカは至極冷静で一同の様相をゆっくり見ている。
フランス自身は…こうやって皆を見ていないと何かに飲込まれそうだった。
アメリカが寝台に近付いて何か小さな声で囁くと、静かに離れ、寝台の幕は音も無く閉じられた。
ランプを持った女性が誘導するように室内から出てまた暗い回廊を行き、広く明るい応接間に通されるとまもなく紅茶とケーキが振舞われる。
室内は暑く、扇風機が音を立てているのが余計先刻との対比を思い起させて眩暈がした。
マホガニーのテーブルに置かれたお茶と菓子に手を付けたのはアメリカだけで他一同は黙っているまま。
「暑いね、生憎とアイスクリームはないけれど冷たい甘味は作れるから用意させようか?」
「そ、そうだね、お兄さん貰おうかな」
声もない一同に気を使ってフランスが応答すると、ロマーノが俺も欲しい、と低い声を出す。
隣のイタリアはカタカタと震えており、イタリアの手をロマーノが握っているのが見えた。
「他にはいないかい?」
アメリカがベルを鳴らすと年配の沙の着物を来た上品な婦人が現れ、アメリカの冷たい甘味二つ、という要望を受け下がっていく。
やがて持ってこられた甘味は白玉ぜんざいに氷が浮いたものでフランスはお世辞を言いながら食べロマーノは自分が食べながら時折弟に食べさせている。
食べ終えた頃ようやく風が吹き始めて窓の外の風鈴が鳴った。
「あれは日本か?」
唐突に呟くイギリスにアメリカがそうだよと答える。
そうか、とこれまた独言のように返したイギリスはその後は人形のような表情で動かない。
ボーン、ボーンと柱時計の音が遠くから聞こえて、中国が立ち上がった。
「帰るある」
「そうかい?俺はここに今日は泊まるから帰りを呼ぶよ、待っていてくれないか?」
「行きと同じで良いね」
「行きにも街を出るまで護衛が付いただろう?遅い時間になるだろうから帰りはもう少し護衛を増やさなくてはいけないしね」
「日本国民がアメリカに反発してるか?」
「日本国民はGHQに対して大人しいもんだよ、むしろ歓迎すらされてる。…日本の警察官が先日も襲われた事だし、GHQの兵に暴行する者もいるからね、日も落ちるし迎えが来るまで待っていてくれないか?」
誰に襲われた?と口を開くフランスを手で制して、中国はわかったある。皆も帰るね。と言えばアメリカがそうかい?と笑った。
アメリカが電話をしに別室に行っている間、一同重い雰囲気の中、イギリスが紅茶に口をつけて、まるでミルクをとってくれとでも言う口調で
「日本は死ぬのか?」
と首を傾げた。
「八割」
と中国が答えるとイタリアが立上がり涙を沢山浮かべた美しい瞳で引きつらせ、喉を鳴らす。
それをちらりと見ながら中国は足を組み、肘掛に凭れて苛としたような仕草で眉間に人差し指と中指を当てた。
「アレは、死ぬか美国の隷属ね」
「そんな…」
「我もそんな時期があったね、生残り耐え忍びいずれは…」
爛と光る瞳で一同を見渡して中国は口角を上げる。
「中国それは…」
フランスが弱々しく問いをした時だ。
「準備が出来たんだぞ!」
ノックも無しに入って来たアメリカによって会話は中断された。


















帰りの車には中国、イギリス。
もう一台にはフランス、イタリア兄弟と別れて乗り込み、館が見えなくなった後、車内で嗚咽を堪えるイタリアの声が響き続ける。
夕陽が禍々しい程赤く、戦火を潜りぬけて隠密でスペインの元へ行った四月二十六日の後のあの日、いいようのない思いが一瞬で身体を焼いた日をロマーノは思い出しながらイタリアの頭を慣れない仕草で数度、そう昔気が遠くなる程に遠い昔スペインがロマーノにそうしたように撫でた。
「兄ちゃん・・・日本死んじゃうの?居なくなっちゃうの?」
「嘘でもそんな事言うんじゃねえぞちきしょうが」
「でも兄ちゃん、日本が日本が・・・」
「あの爺が簡単にくたばるタマか。腹に一物も二物も抱えて人畜無害そうなうさんくさい笑い浮かべてひょっこり顔出すぜ、そのうちに」
助手席に座っていたフランスは振り返り兄弟を見るとなんだか不思議なくらい苛々した気分になり、ロマーノと呼ぶとロマーノがフランスに顔を向ける。
「あれが生きてるように見えたわけ?ロマーノには」
ひっ、とイタリアの引きつった声がした。
ロマーノは弟の頭を抱えたまま眉を上げ、強く鋭くフランスの耳を掴む。
「息をしていた、生きてた。それが力だ。あの爺だって今まで死ぬような目に合わなかったわけじゃない、俺達だってお前だって。俺は詳しくはしらなけどな、あんな目にあってまだ生きてるんだ、なら生き抜くだろう」
「でも・・・」
「フランスこの野郎、てめえ泣き言言ってる暇あんのかよ、戦勝国だろう?なら爺をここまで追いやったアメリカに対抗する術を考えろよ。あんな爆弾、アメリカ一国だけが持つ世界で終わると思うのか?」
「ロマーノ」
「アメリカは・・・じゃが芋野郎達もここに連れてくる予定だった。とても移動させられる状態じゃなかった連れてこなかったがな。この後俺たちはじゃが芋野郎達に面会する事になってる」
「アメリカが日本の支配を見せ付けたかったのと俺たちだけに武器の効果を見せたかったのはわかるけど、ロマーノとイタちゃん、更にゲルマン兄弟連れて来たがったのは疑問だね」
「俺が思うに幼稚な独占欲だ。みせしめとみせかけた、枢軸国への独占欲。若造の考えそうな事だろう?」
「・・・そうかもね・・・いずれにしても考えても何をしても日本が助かるわけでも治るわけでもない。そうだね、日本の事だ、きっとまた姿を見せてくれる筈」
フランスが笑えば微妙な顔でロマーノが笑う。
でも、とイタリアが小声を出した。
「神聖ローマもいなくなっちゃった、日本が生きてるなんて誰もわかんないよ・・・?」
「少なくとも今、生きてる。呼吸をしている。そして俺たちには何もできない」
ロマーノは厳しい横顔で車外を見つめて、そして目を閉じた。



ごめんなさい続きます。
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