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HN:
昂真秀
性別:
女性
職業:
見習トゥルバトール
趣味:
妄想
自己紹介:
昔は錬金術師を志していたが、現在は吟遊詩人を夢見ている。
最近は『思考するハムスター』『黒髪ロングの狸』等々好き勝手に呼ばれております。
Blong Pet
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先日に日記に別口でシェウィさんがお返事くださりまして、非常に・・・楽しく思いました!流石だシェウィさん!
なにやらえらく楽しいので先日のようなうざったい日記をちょこちょこ書いていくやもしれませぬ・・・お読みになる方はどうぞお覚悟なさいませ。
さて、最近はとみに顔がいたく、顔を四等分すれば左上のあたりが大変な事になっていまして、夜中に顔が痛くてうなされています。(既に赤黒い。病院の塗り薬が痛く、染みて、塗った瞬間にひい!というぐらい痛いのです。)
なんとか化粧で誤魔化しているのですが、化粧をとれば結構恐い事に。
痛い・・・その痛みでいくつか怪談を思いついたので後日アップしますね。
これぞ、万事塞翁が馬というやつか・・・





さて、いつもながらオリジナルの夜鳴の短編です。ちょっと長くなりそうなので何回かに分ける予定(忍耐力の欠如)


菊の忘れがたみ

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ここに一振りの脇差がある。

武士が最後をしめるに相応しい凛々しい品で、装飾も無くただ一つの刀の美しさが光を浴びて不吉なほどに真っ直ぐと横たわっていた。

青々とした畳の上に緋毛氈が広がりその脇差の隣に軍帽が静かに置かれると、縁側の桜が軍帽の上に涙を零すが如く横たわる。

竹刀だこの長い指が丁寧に脇差をなぞると、ざあと風が吹き花吹雪が舞い上がる。彼は、そう、彼はまだ若く青竹のような口元を少し上げて、見納めの桜を見上げると、脇差の鞘をゆっくりと置き、軍服の前を寛げて微笑む。


「    今、参ります」

血が、掛け軸に・・・桜吹雪のように飛んだ。















ざわめく骨董市の陽気さに心和ませて、右へ左へと呼び込みの声に視界を巡らせ歩くのはまだ若い青年、八雲である。
誰の行いがよいものか、本日は晴天で落下する紅梅を見つつ進む道中はただの観光客と大差は無い。
今日は仕事ではなく、単純に市が立つというだけで来ているので気も楽なもの。八雲の中ではお祭りと同等である。

「月さん、少し見てきてもいいですか?」

はしゃいだ八雲に鷹揚に頷き、背を見送った月は子どもね、と蒼に向かって呟けば、笑う蒼が月に甘酒を差し出す。
何時の間に買ったのやらと呆れつつも口をつければ生姜の甘さが口内に広がり、寒い日は甘酒がいい、と常々言う蒼の気持ちがわかった気がする。
小さめの紙コップの甘酒をちびちび飲みながら歩き、甘い箸巻きの匂いやらに惹かれる自分と、試飲の日本酒の誘い文句にどうしても気を向ける蒼はものは違えど似た者同士。
しかし、先日まで寝込んでいた蒼には酒量を制限するよう医師からのキツイお達しが出ており、この甘酒ぐらいは見逃してもいいが、試飲なぞもっての外。
月が蒼の袖をひっぱるとばつの悪そうな笑みを浮かべて飲み干した甘酒のカップを大人しくごみ箱に捨てに行った。
近くのベンチに腰を降ろし、ブーツに少しついた雪をかかとを地面に数度つけることにより払い、手の中の温くなりつつある甘酒を飲み干す。少し探したのであろう、蒼が甘辛団子の串を二本持って走り寄ってきた。
団子は炭火で炙られていたもので、さっき月が通りすがりに美味しそうだと思っていたものでそんなものを買ってくる気の効いた蒼の行動には笑みが零れる。蒼は着物の裾を少し押さえて月の隣に座り、差し出された団子を受け取り一口食べればほくほくと白い湯気が出た。
もの凄く美味しいというわけでもないのに、こういう所で食べるものは格別に美味しく感じられるのは何故であろうか。二口三口と食べ進むうちに、蒼が食べている蓬の団子も美味しそうに感じられ、横からかぷり、と食べてみると、こちらも上々。苦笑しながら食べ終えた月の串を受け取って、再度ごみ箱へと捨てに行く蒼を待たず、月は骨董市をひやかそうと立ち上がり、ロングスカートの裾を翻していけば、流石に同業者見知った顔もおりにこやかに挨拶するもの、目を背けるもの多種多様な様子に片眉を上げれば懐かしい声がした。

「おや月さんじゃないかね、珍しい。こんな場所に来るなんてねえ。蒼さんは一緒じゃあないのかい?」

振り返れば飄々とした翁といった風情の老舗の骨董屋の主人だ。
煮ても焼いても蒸しても揚げてもくえない爺だと苦手意識もあるが、ここはにっこりと笑みを浮かべてええ、と返答すれば、残念、とふくよかな顎を擦る手に簪を突き立ててやりたくなる衝動をおさえる。

「何が残念なのです?」

「一人なのじゃろう?蒼さんに見せたいものがあってねえ」

「あら私ではいけませんの?」

蒼が一緒の時でなくてよかった、と思いまた何をたくらんでいるのかこの狸爺はと内心憤慨していると、その主人は一般用に並べている骨董品の山をのけて、自分が座っている近くに置いた箱より何やら長細い物を取り出した。

「ほほ、まあ蒼さんの方に見てほしかったんじゃがねえ」

布に包まれたそれを見た瞬間、嫌な予感が背筋を走る、これは駄目だ。

「私も見たくはありませんが」

「まあそう言わんといて」

駄目だ、と主人の手を押さえようとした瞬間

「月、こんな所にいて。あら、お久しぶりです」

「おお蒼さん」


最低なタイミングで蒼が月をみつけた。

ちょっと続きます。
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