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HN:
昂真秀
性別:
女性
職業:
見習トゥルバトール
趣味:
妄想
自己紹介:
昔は錬金術師を志していたが、現在は吟遊詩人を夢見ている。
最近は『思考するハムスター』『黒髪ロングの狸』等々好き勝手に呼ばれております。
Blong Pet
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リクエストになるのでしょうか。
足★兄弟の創作です。あいかわらずのぶつ切り短編ですが・・・
如何でしょうか。
兄者ラーヴウウウウウウ!!!!な弟の話のつもり

苦手な方。何ですかね、それは。
な方もバックプリイズ。よい方は下記をクリック。


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往々にして北条の醜悪さが人の口に上り、兄高氏も時折なにゆえにかようになられましたか、と執事が言うような様相で邸へ戻る事が多々あった頃、悲しそうに細い顎を少しひいて眉を顰めて「すまぬ」という高氏にたれも、そうたれも目を伏せ唇を噛み締めていた。
そのような姿を見て臍を噛む、いやむしろ殺気を隠そうともしない高国を見て、怯える高義の肩に手を置き、貞氏は溜息をかみ殺す。
昨夜清子の悩ましげな肩に手を置いた時に聞いた言葉を思い出しながら。

「恐ろしゅうございます」

「何を恐れる」

「高国です」

「執権殿に一字を頂戴した有難い名を何故そのように嫌うか」

「高氏は、あの子はわかりまするが高国は何を見て何を考えておるのかもわかりませぬ、あの子、我が子ながらあの子が恐い」

何を、と笑おうとした貞氏はその口元が引き攣るのを押さえられず清子に殿、と手を添えられる。

「殿もかように思うておられましょう?」


秀逸な白顔で表情を崩さぬ冷たさは確かに兄と一線を駕している所があり、胸の内を悟らせぬ様は我が子か、と思うた時もあるが。
その表情を貞氏はもう一つ見た事があった、それは高氏である。
その日はよく晴れた日で執権殿の生白い顔は破顔し狂気のような笑い声をけたたましく上げると愛妾を抱き寄せほれ、とおよそ武を司るとは思えぬ指先で家来に指示を出す。
躊躇する家来に悲鳴にように再度伝えられた命に震え上がり開かれたは闘犬の檻。それならばいつもの事であろう、だがその牙の先にいたのは貞氏の嫡男である高氏であった。
空気は揺れ、泥に転ばされた高氏の顔は執権からは見えぬようであったが、貞氏からはよう見えた。
それはあの、高国の顔と同じ冷たさ冷静さを持ったもので、背筋に冷たいものが落ちた貞氏はその騒動が一段落した所で邸へと戻ると、そこに同じ顔をした高国が黙って居た、あの冷たい底冷えするような顔で。

「恐ろしゅう思うは高国だけか」

「殿?」

「ほんに、我が血を分けた子かと思う程に高氏も高国も・・・いやそなたになんぞ言うておるわけではない。だがな、遥かに大きなモノをそなたはこの腹からあの子達に与えたのではないかと思うのでな」

との、と春の宵の花吹雪の如き甘い声を聞きながら、この家の行く末の先々は己の腕には思いものよと貞氏は目を閉じた





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頬に擦り傷がある。
高国は高氏が美味そうに杯を空けるのを見、酌をした。
笑うと引き攣った傷が痛々しい。
侍女もつけず兄弟水要らずの酒盛りに濡れぬ杯がひとつ、月をうつさず鎮座しているのを高氏は深く笑む。
弟の、高国がうまき酒を手にいれましたぞ、と曹司を訪ねるのはいつもの事で、女子の騒ぐ顔が少し緩むはこの兄の前だけかと寂しさと嬉しさを無い混ぜにしつつ高国の酒を受けて呑み干すと、己の杯に再度満たされた酒に月を写し、そっと高国へと差し出す。


「酒はいらぬか」

「酔っていては兄上をいかにして守れましょうか」

「そなたは頑固なのか一途なのかわからぬな」

執権の戯れによる傷の熱もひき、そろそろ酒を呑んでもよかろうと思った矢先のおとないにややあって笑む顔は酷く子どもじみていた。

いかほどに杯を重ねたであろうか。
酒も呑まず、只管高氏を見つめる高国の静かな面が実はそうではないと知る高氏の手がゆるりと伸ばされて頬にかかると少し目を伏せ高国は触れられた方とは逆の手で高氏の引き連れた傷に指先でなぞる。

「もう痛くはござらぬか」

「平気だ、これしきなんという事は無い」

「昔もそういわれた。その時は足を折ったのを覚えておられてか」

「これは痛いことを言う」

「何度でも申しましょう兄上。少しは痛むでしょうが・・・他にお心をしめるものがおありか」

つ、と傷に爪をたてた高国をまぶしいものを見るかのようにして高氏はわかるか、と呟く。

「兄上のこと、この高国に判らぬ筈も無き事」

「日野殿にお会いしてな」

日野、と思考を巡らせてそんな従者もいないと高国は思い、ああもしや街の隅で会っていた小汚い山伏の事かとうなずく。
高氏が会う者で高国が知らぬ者はその者しかおらぬ。

「そうだ、殿上人だそうでな」

それだけ言えばこの高国には全て伝わるという事を高氏は深く承知しておりその全幅の信頼を寄せても問題ないほどの兄弟間であった。

「兄上は、怪我を拗らせてこの高国が手ずから看病するとしましょう」

「感謝をする」

にやり、と人の知らぬ高氏の顔を見た事で胸の内は舞い上がり高国はふと思いついたように兄上、と肩をつかむ。

「京の女子に惑わされぬようお気をつけ下さい」

阿呆、と笑った高氏に高国も小さく笑った。

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改名

高氏→尊氏  高国→忠義→直義

異母弟の高義の改名前の名は不明でしたのでまんま使いました。
早世しています

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